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利用者の減少で3月限りで九州から姿を消したはずの寝台特急(ブルートレイン)が、今も走り続けている。JR九州が6月に臨時列車を運行させたところ、乗車希望者が殺到。その後も各地を走り、11月以降、12月上旬までは毎週末のように予定が決まっている。同社は車両を09年度で処分する予定だったが、予想外の人気に運用計画を延長。もうしばらく、青い車体を見ることができそうだ。 7日午前11時。05年まで長崎と東京を結んだ「さくら」が長崎駅に入ってきた。同社長崎支社が「ブルトレ郷愁の旅」と題して企画した長崎発門司港(北九州市)行きの臨時列車だ。ホームはカメラを持ったファンで埋まった。一般の乗降客も携帯電話で撮影に加わる。 4両の車内は満席。約80人の乗客のうち、50人以上が石川や茨城、奈良など遠方を含む県外からの参加者だ。 京都市の大学2年生、広岡啓一郎さん(26)はブルトレ引退後の乗車は2度目となる。引退前には、博多に住む友人に会うため、京都と長崎を結んだ「あかつき」を度々使っていた。「夜景を眺めるのが好きだった。まだ走っていると知り、このチャンスに乗っておきたかった」 長崎市の三藤文枝さん(67)は懐かしさのあまり、旅行友達2人と乗車した。「昔は旅と言えば、夜行列車だった。ゆったりした雰囲気が好き。今の列車は速いばかりで面白くない」 門司港駅までの約8時間、ブルトレは運行中、注目されっぱなしだった。最後尾の車両は停車駅ごとに「さくら」「富士」「はやぶさ」と列車名を表示するテールマークを替え、ファンを喜ばせた。通過駅ではカメラを構えたファンが待ちかまえ、沿線では通りかかった人が足を止めた。海老津駅(福岡県岡垣町)で、高校帰りの井上麻里央さん(17)は「何これ?車内にベッドがあるよ」と、友だちと大はしゃぎだった。 車両は昭和40年代製。内装はきれいだが、車体の外壁の一部ははがれ、赤茶色にさびている。「乗務経験者でないと車両の扱いが分からない」という理由で、ベテラン車掌3人が、長崎や博多の車掌センターから呼ばれた。 車掌の進藤真二さん(50)は東京―大分・熊本間を走った「富士・はやぶさ」に乗務していた。空調を手動で「送風」から「冷房」に切り替え、「今の列車は全自動なのにね」と笑った。久々の車掌室では「見知らぬ客同士、向かい合った寝台で酒盛りを始めてしまう雰囲気があった」と懐かしんだ。 博多駅で降車する際、「廃止間際は乗車率が2、3割だったのに、こんなににぎわうなんて。もう最後の乗務なんだろうね」と、青光りする車両を見つめた。 JR九州によると、6月以降、門司港―長崎、熊本などの区間で約20本の列車を「富士」「はやぶさ」「あかつき」として復活運転した。同社広報室は「引退当初、このような運行は考えていなかったが、廃止を惜しむファンの声に応えた」としている。(安倍龍太郎) ◇ 〈ブルートレイン〉1956年、東京と博多を結んだ「あさかぜ」が元祖。松本清張の推理小説「点と線」にも登場し、「走るホテル」と呼ばれた。高度経済成長とともに本数を増やし、75年の山陽新幹線博多開業前には1日20本以上の列車が東京や関西から九州に乗り入れた。しかし、新幹線や飛行帰高速バスの拡充に押され、今年3月、「富士・はやぶさ」(東京―大分・熊本)を最後に九州からは姿を消した。現在は、東北を中心に「北斗星」(上野―札幌)、「日本海」(大阪―青森)など4本が残るが、車両の耐用年数が近づいている。



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